豚の姿をした蚊取り線香を焚くための器を「蚊遣り豚 (かやりぶた) 」や「蚊取り豚」と呼ばれます。
なぜ豚の形なのでしょうか? 諸説ありますが、2つご紹介します。
昔、養豚場で発生した大量の蚊に困り、土管の中に蚊取り線香を入れて使ったところ口が大きく煙が散らばってしまい効果はありませんでした。そこで、口を小さく改良する際に近くにいた豚の鼻に形が似ていたので、常滑焼のお土産として販売したところ人気商品になり、爆発的に広まったといいます。
また、江戸時代に豚の野生種であるイノシシが「火伏せ(火災を防ぐ)の神」として崇められていました。当時の蚊よけは、草や木片などに火をつけた煙でしたが、他のものに火が燃え移る危険があったため、火伏せの神のイノシシにあやかり、似たような形の入れ物の中で火を焚いたという説もあります。